●小満(しょうまん)
万物盈満すれば草木枝葉しげる
No.076
郭公が鳴くと種蒔き
時候の変化を表す七十二候では、5月上旬に戴勝という鳥が登場します。戴勝は農民に農耕を勧めるという伝説をもつし鳩という鳥のことで、一般には郭公の名で親しまれています。北国十勝では5月下旬に郭公が鳴き、それを合図に小豆の種蒔きを始める農家もあるといいます。
種蒔き前の重労働
小豆の種蒔きの季節、5月下旬になっても、広大な十勝平野の遙か遠くに見える大雪山は白い雪を抱いています。平原を吹き抜ける風も爽やかだが、まだまだ冷たく、時に肌を刺すような寒さも感じます。ところで、種蒔きをする前に、大変な仕事をしなければならない時があります。畑の石取りです。小豆などの栽培には石はよくありません。十勝には、火山噴火の名残でしょう、漬物石にでもしたいような石が土の中にゴロゴロしています。一辺が百メートル以上もの広大な畑の、端から端までを何度も何度も往復しながら、農家の人たちは、憎き石を丹念に取り除いていくのです。畑の隅に盛り上がった石の小山からは、十勝農家のそんな苦労の一つが偲ばれます。しかし、不思議です。石は取っても取っても地面の底から涌きだしてくるそうです。十勝の大地は生きているのです。