●冬至(とうじ)
日南のかぎりを行て日のみじかきのいたりなればなり
No.114
死せる女神生命を残す
古代、大和朝廷のもとで編纂された歴史書に小豆が登場します。『古事記』では伊弉諾尊の子で食物を司る女神大宜都比売の、『日本書紀』では保食神(二大宜都比売)の死体から米、粟、麦、稗、そして大豆、小豆、蚕や牛馬まで、人々の生命の源となる五穀などが生まれます。
冬至に小豆のいとこ煮
ところで何故死体から何よりも大切なものが生まれるのでしょう?伊弉諾尊の妻、伊弉冉尊は火の神様の誕生と引き換えに死に至りますが、その時に他の神様も生まれます。妻の死に怒った伊弉諾尊が火の神を殺すとまたその血や死体から数多くの神々が産声をあげます。この殺神や死は時代の移り変わり、時としては部族間の戦争の結果を表わしているものかも知れませんが、もっと身近なものにたとえてみたらどうでしょうか。「神の死」は冬至と考えられます。新暦12月22日〜23日頃、最も昼間が短い日が冬至です。冬至は暦の起算点で、冬至から半年後の夏至まで徐々に日が長くなります。一陽来復・・・再び太陽、生命源、豊かさの神が日に日に近づきます。穀物の種蒔きは極寒の立春以降ですが精神的には陽気が増します。これは古代も現代も変わりはないでしょう。この一年の分岐点、もう一つの年の始まりに小豆のいとこ煮を食べる風習がありました。