●立秋(りっしゅう)
はじめて秋の気たつがゆへなればなり
No.129
精霊様のお弁当
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下里ではお盆に精霊送りを行っていました。8月16日の新仏のそれは今も守られていますが、15日に各家で行うものはなくなりました。15日には小豆の餡団子を乗せた精霊舟を沖へ流しました。餡団子は精霊様のお弁当だそうです。
一荷片荷の餡団子
精霊様のお弁当は一荷片荷で整えます。天秤棒の両端にかけて一人で荷える分量が一荷。その片方即ち半分が片荷。麻幹箸の一本の両端に餡団子を一個ずつ突き刺したのが一荷、もう一本の麻幹箸で餡団子を一個突き刺し、箸の真ん中に位置させたのが片荷。2+1=3で、一荷片荷の和の3は、 三密(身・口・意の三業)などの仏教用語に頻繁に登場するので仏教思想に起因するという説があります。この、一人前ではない、正常の半分を意味する片荷という言葉は何かしら悲しい言葉です。昔、僧が那智の浜から小舟を漕ぎ出し観音浄土へ永遠の旅に出る補陀洛渡海という風習があったが、この旅立ちに食べ物を持って行ったでしょうか。もし持ったなら、二度とこの世に帰らぬように帰りの食べ物はわざと不十分にしておいたでしょう。一荷片荷のお弁当にはうら悲しさがこもっています。