●立夏(りっか)
なつのたつがゆへなり
No.147
田の神様は小豆好き
今でも専業農家の中にはひょっとしたら伝承されているのかも知れませんが、秋田県男鹿市琴川ではその年の初めての田植えのハツウエには田の水口(ミナクチ)さんに小豆まんまを供えます。また田植え終りのサナブリにはいたどり(地元ではさしどり。食用となり根は漢方薬となる)の葉に小豆まんまを乗せて水口さんに。田神の好物は小豆?
仏様も知人縁者も・・・・・・
福井県遠敷郡上中町三生野では、その年の初植えをワサウエと言います。ワサウエでは当日の朝にお赤飯を炊いてお汁と御神酒と一緒に仏壇と床間に供えます。その後、愛情こめて育ててきた苗床に御神酒を捧げ、直ぐに初植えとなります。早稲、中手、晩稲と植え、田植え終わりにはサナブリを行います。サナブリは苗束を藁でくくりつけたナエタバネを仏壇、床間、社寺や村の辻に供え、秋の豊作を祈ります。このサナブリには小豆は登場しませんが、以前はサナブリと同じ頃に行う泥落としと呼ばれる風習がありました。泥落としでは小豆餡入りの柏餅を百個も二百個も作ります。上中町はかつて若狭湾から京に海の幸を運んだ鯖街道の古里です。街の知人縁者は若狭名物の焼鯖を持って泥落としのお祝いに来ます。そして無事に田植えを終えられたことを共に喜び、秋の豊作を共に祈願し、柏餅をお土産に貰って帰りました。泥落としが途絶えたのは残念ですが三生野には今も豊かな農村文化が残ります。