●小暑(しょうしょ)
大暑来れるまへなればなり
No.175
小豆の音
「お手玉の中身は絶対に小豆よ。手触りはもちろんだけれど、音もやっぱり小豆に限るわよ」と言うおばさんがいました。布袋の中で小豆同士が打ち合い擦れ合うシャラシャラという音が何とも快いのだと言う。改めて聞いてみると誠に清々しい音です。ところが寒気を誘う恐しい音も小豆は発します。
出てこい!小豆の妖怪
梅雨の季節、いつ終るでもなく降り続ける雨の音を独り聞いていると理由もなく恐くなることがあります。夜中布団の中まで侵入してくる軒先から落ちる雨垂れの音は何か化け物の足音に聞こえることがあります。アズキトギとかアズキアライなどと呼ばれる妖怪が出す音もそのような音なのでしょうか。しかし音だけの妖怪が少ない中、「何ゆえに音もいろいろあろうのに、小豆を洗う音ばかり聴き取るのが例であったか」と民俗学者柳田國男が言うように、何故小豆を洗うジャラジャラサラサラという音かという疑問があります。この姿のない小豆の妖怪はアズキババアなどと名を変え、ほぼ全国の川や井戸など水辺に出没するようで、中には「小豆磨きやしょか人取って食いやしょか」と口をきくものまであります。小豆は水辺につきものなのかと思っていると、天井裏でハラリハラリ小豆をまく音をたてるアズキハカリなる妖怪もいますが、やはりどれもこれも姿を現わしません。