民間初の小豆新品種開発、出願申請へ

小豆にも米と同じように様々な品種があり、品種によって味や風味、色に違いがあることはあまり知られていません。御座候のアンの風味を長年に渡って支えている「エリモショウズ」という北海道の品種は、ある病気の抵抗性が無いことから、作付が少しずつ減少してきました。新たに登場した病気抵抗性品種は、味や風味、色が御座候のアンに不適であったり、品質面で期待した品種も生産面で必ずしも受け入れられず普及は拡大しませんでした。「このままでは私たちの求める小豆が無くなってしまう」という危機感から、民間としては初となる本格的な小豆の品種改良を2005年にスタートさせました。目指したのは、病気に強いだけでなく、美味しく、色の美しい小豆です。そして開発から12年、ついに新品種の出願に進めることができました。[㈱御座候と㈱バイオテックの共同出願]

小豆に求める品質は和菓子屋さんや製餡会社によって異なりますが、色が良く、煮熟特性に優れ、芳醇な甘みを持ったこの品種は広く受け入れられるのではないかと思います。生産面では落葉病抵抗性を持ち、収量は2016、2017年の試験栽培の結果からエリモショウズ並と言えますが、2018年以降も生産者の皆様の声を聞きながら、品種の特性を明らかにしていきます。

和菓子屋さんや製餡会社などのユーザーの方には当品種の加工適性や味をお試しいただき、生産者の方には当品種の作付にチャレンジしていただければ幸いです。御座候のお客様におきましては、当品種のデビューをご期待ください。

当品種が広く作られ、広く使われ、広く愛されることで“世界一の十勝小豆ブランド”の更なる発展に寄与することを願っています。

  • 小豆252号(仮称)の特徴
  • 品種開発の取り組み
  • あずきを空から見てみよう

 

品種の特徴

品種開発の取り組み~10年越しの品種改良~

同じ親から生まれた子でも兄弟でそれぞれ性格が違うように、ある品種同士を交配しても、すぐに狙った性質の品種が出来るわけではありません。病気に強い遺伝子を持っているかを確認し、草姿や収量性、熟期等の生産面での特性を確認し、最終的に加工適性や味・風味を確認して、ほんのひと握りだけが品種候補となります。最低でも10年はかかる、気の遠くなるような取り組みです。

  1. ①交配

    小豆の花
    異なる性質を持つ小豆同士を交配します。父母を入れ替えたもの等も含め、複数の花を交配します。小豆は自家受粉植物の為、開花した時には既に受粉しています。そのため、開花直前の母となる花の雌しべだけを残して雄しべを除去し、交配したい父となる花の雄しべを接触させて交配します。
  2. ②耐病性の確認

    小豆の病気“落葉病”は土に由来する病気です。交配して出来た種を落葉病が発生する畑にまいて、病気にかかるかどうかで抵抗性の有無を確認します。
    しかし、メンデルの法則で有名な遺伝の法則から、交配後3世代を経なければ病気抵抗性の有無は確認できません。小豆は1年1作、つまり耐病性の遺伝的形質を明らかにするまでに最低3年が必要ということです。
    そこで、少しでも早く品種改良を進める為、冬季に沖縄で種をまき、春に収穫した種を北海道でまくことで1年で2世代を進める「世代短縮」を実施してきました。
  3. ③生育特性の確認

    世界一の小豆生産地の十勝にとっては最も大切なことです。十勝ではいつ花が咲いていつ収穫できるのか、収量はどうか、莢の着き方はどうか、暑さ・寒さに強いか、草の形は倒れにくく収穫しやすいかどうかなど、様々な視点から確認していきます。(写真はエリモショウズです)
  4. ④官能試験(味・風味の確認)

    畑での選抜がある程度まで進むと、加工適性や味・風味を確認します。毎年数十種類に及ぶ小豆を煮てアンにして、味や風味、香りや色など複数人で確認します。味・風味はエリモショウズを基準とし、アン色はしゅまりを基準としています。交配親が何かを知らされずに官能試験を行いますが、同じ交配親の種類だけが残ることが多くあります。年産によるブレや遺伝形質のバラつきを踏まえ、複数年繰り返します。
    またこの時、製餡時の煮えムラや漉し餡にしたときの歩留まり、アン色などを機械でも計測して確認します。
  5. ⑤生産力試験

    数々の試験に残った2、3種の系統を、一定以上の面積で実際に栽培し、生産力を確認します。緊張の1年です。
  6. ⑥現地試験

    今回は小豆の取引先4機関の皆様と生産者の皆様にお願いし、10か所で現地試験を実施。1年目は部分的に播種した小規模な試験で、2年目には1カ所が数haに及ぶ面積で10戸の生産者の畑で試験しました。
    結果、地域による差は若干あったものの、概ねエリモショウズ並。生産者からはエリモショウズに比べ倒れにくく、収穫もしやすかったという評価をいただいています。(写真左は紫さやか、右はエリモショウズ)
  7. ⑦DNAマーカー

    近年はDNAマーカーを用いた品種判別や病気抵抗性の検定が可能になっています。そこで、当品種についても品種判別を行い、遺伝的に既存の品種と異なる全く新しい品種であることを確認しました。
    また、重要な落葉病抵抗性についても、DNAマーカーの検定で落葉抵抗性「有」とされました。畑での確認と最新の検定技術を合わせて確認しましたので、病気抵抗性の点で不安をお持ちの生産者の方には安心していただければと思います。
  8. ⑧2018年 北海道十勝での栽培本格デビュー

    こうしていち民間企業が開発した小豆品種ではありますが、取引先各機関の皆様の説明会開催や普及のご協力により2018年より一定の規模で作付をスタートすることができたこと、深く感謝しております。また、まだまだ未知数である当品種にチャレンジしていただいた生産者の皆様には、嬉しく思うと共に感謝しております。中には「252号(仮称)希望の会」と銘打ち、同地域の仲間を募って作付した生産者の方もおられるなど、実需が求める物にチャレンジする生産者に触れ、十勝小豆ブランドを支える産地の高い意識を再認識する素晴らしいきっかけとなりました。

    今後も産地と共に品種特性の理解を深め、世界一の十勝小豆ブランド”の更なる発展に寄与できるよう努めてまいります。

  9. あずきを空から見てみよう

近年十勝では、ドローンを使って畑を上空から見ることで、作物の生育状態を確認して改善に繋げるといった取り組みもされています。今回、ドローンを所有する取引先様と希望の会の生産者の皆様のはからいにより、北海道十勝の小豆出願品種「紫さやか」の畑をドローンで撮影していただけることとなりました。是非、ドローンで撮影された美しい映像で、広大な十勝の小豆畑を体感してみてください。

播種Ⅰ 5月23日  撮影:柴田農場(音更町)

播種Ⅱ 5月17日  撮影:中村農場(音更町)

最繁茂期 8月18日  撮影:中村農場(音更町)

収穫期 10月17日  撮影:中村農場(音更町)

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